砂川恵理歌 オフィシャルウェブサイト

2009.3.6(金)No.6

さちこさん(仮名)とご家族


余命3ヶ月

自分が
自分の親が
そう告げられたら
何を思うでしょう…。

先日、私はそんな家族と一緒に歌いました。
さちこさん(仮名)は末期ガンで余命3ヶ月。

「一粒の種」を多くの方へ...
と[Smile Seed Project]をスタートさせて、いよいよこのような日が来た…。と思いました。

出会いのきっかけはさちこさんの娘さんからの1通の手紙でした。母親が末期ガンだと宣告された日、帰りの車でラジオから「一粒の種」が流れてきたそうです。これまで、家族の為に必死で働いてきた母に、「恩返しがしたい!母の為に何かしたい」という強い思いが、その長い手紙の文面から溢れていました。

訪れたのは、沖縄中部、病院の個室。
あの病室の中に入るギリギリの瞬間まで「一粒の種」という曲をホントはどうお届けしたらいいのか不安で仕方ありませんでした。
身体中でこの日がくるまでぐるぐると、考えて、考えて、考えて、答えは飾らず今の私で想いを今に注ぐコト。
この歌を授かった者として、しっかり家族の想いを伝えよう! さちこさんの気持ち、家族の苦悩を、想像することは出来ても、「わかること」は到底出来なくて…。 なら、せめて呼んでよかったと思ってもらえるように、最後に笑顔でこの部屋を出よう。
この一心で部屋の中へ足を踏み入れました。
病院で出迎えてくれたご家族は「もう、覚悟は出来ている」 と言い聞かせるように、流れてくる涙を必死に抑えながら話してくれました。

そして、病室に入って一言。
「はじめまして!砂川恵理歌と言います。今日はさちこさんに会いにきました。」
突然の私の訪問に不思議がるご様子のさちこさん。
当たり前ですよね…(笑)
ゆっくり、私が歌を歌っていること、娘さんからお手紙を頂いたこと、ご家族の思いを話して少し打ち解けた頃、さちこさんがカラオケへ行くとよく歌う、という三船和子さんの「だんな様」を一緒に歌いました。
声に張りがありとっても上手いので、そうお伝えすると、地元のカラオケ大会で優勝したことがあるとのこと!納得です。

そしてさちこさんご夫婦揃って座ってもらい、「一粒の種」を聞いて頂きました。
私はとっさに手紙をくれた娘さんと手を繋いで歌っていました。
この歌を歌うのは私だけれど、この想いは「さちこさんが懸命に守り育てた家族からの気持ち」だと届いて欲しかったから。
歌って、泣いて、笑って、お話をして、
最後にさちこさんから
「ありがとう」「最後まであきらめないでいるね!」
と優しい笑顔とともにいただいたお言葉、とっても嬉しかったです。
手紙をくれた娘さんも
「あんなに笑った顔の母を見たのは久しぶりでした。」
と、こちらも素敵な笑顔と一緒におっしゃって頂きました。

誰かが、誰かに「生きていて欲しい!」って切実に想う気持ち。
そして、「何かしたい!」と強く想う気持ち。
「想いを今に注ぐ」そのまっすぐで純粋な気持ちが、人の心を支えてくれるんだと教えていただきました。


この出会いのあと、私自身も自分の家族への「ありがとう」という言葉がぐっと増えました。



今回の写真
さちこさんと、私の手を合わせると「人」という字に見えませんか?
人が祈るときに自然と手を合わすように、
「どうかさちこさんが1日でも1秒でも長くご家族と過ごせますように!」
と、祈りを込めて撮らせて頂きました。


さちこさん、この日、あなたと同じ時間を重ねられた奇跡に感謝します。
一粒の種が引き寄せてくれた
もうひとつの「一粒の種ストーリー」 でした。

ではまた次のSmile Seed Projectで !