砂川恵理歌 オフィシャルウェブサイト

2009.8.27(木) №76
兵庫県 社会福祉法人 たんぽぽ

今回は神戸市ある社会福祉団体 知的障害者施設作業所「たんぽぽ」へ訪問させて頂きました。

知的障害者施設作業所「たんぽぽ」は、20歳〜36歳までの17名の皆さんが、それぞれの能力を活かして様々な作品を制作している作業所です。


「こんにちは!」 と訪問させて頂くと、ちょうど皆さん「一粒の種」を練習されている所でした。
とても真剣に練習されていたので、施設長の坂田さんに作業所を案内していただきました。

フェルトを使っての大きな作品から、かわいい小物。
北欧から取り寄せた特殊な糸を使っての織物などさまざま。
カバンや帽子と季節に合わせて、作品を制作しているとのこと。
作品としてまだ改良中というコサージュを気に入った私に、「よかったらどうぞ!」と頂きました。 思いがけず頂戴したので、うれしくて早速付けさせていただきました。









フェルトの色合いや組み合わせには、一人一人とても個性が出るとの事で、新作を楽しみにしている固定ファンのお客さまもいらっしゃると伺いました。
真近で作品を見せて頂き、本当に温かくて優しい色合いでとても素敵な作品でした。
年に一度展示会を開いて、即売会を行うそうなんですが 「お蔭様で大体1日で売れてしまうので、翌日から展示するものがなくて困るんです。」
そうおっしゃる坂田施設長の言葉もうなずけました。
作品作りに入るときは、皆さん表情が変わるそうです。主に、自分がやりたいと思ったものを自主的に行っていかれるとのこと。

「従来の知的障害者の作業所というと、どうしても単純作業の仕事が多くその中で正確なスピードというものが求められがちになってしまいます。 その中で一握りのエリートを育てるのではなく、一人一人が持ってる得意とするものを活かして行ける作業所にしたいんです。」

計算が得意な方、記憶力がとてもすごい方、色彩感覚がとても素晴しくて新作を楽しみにされている方が沢山いる方、一人一人の個性を笑顔で話してくださいました。
坂田施設長のこの笑顔から、皆さんがいきいきと制作されているのが伝わってきました。









作品を作る以外にも、皆さん共通して「ジャンベ」の演奏を8年も続けられているとの事で、沢山のジャンベが作業所に置いてありました。
こんなに沢山のジャンベを一度に見たのは初めて。
後で演奏していただけるとのことでとても楽しみなライブになりそうだと始まる前からワクワクしてきました。

お昼に手作りカレーをご一緒させて頂いて、いざ今回のライブの会場へ皆さんと大移動。
場所を移して普段ジャンベの練習会場として使っている場所をお借りしての今回のSmile Seed Project。
「たんぽぽ」の皆さんとスタッフの皆さんそして、ご家族の皆さんとご一緒させていただきました。

今回も皆さんに「一粒の種」を聞いていただきました。
一人一人が静かにそして真剣に耳を傾けて下さっていました。
最初に訪問させて頂いた時にとても熱心に「一粒の種」を練習されていたので、続けて今度は皆で「一粒の種」を合唱しました。
皆さんの元気でまっすぐな歌声にとても感動しました。










お礼にと、今度は皆さんがジャンベの演奏をして下さいました。
一度に重なるジャンベの生音は、地球の中心から這い上がってくるようなとても荘厳な響きでした。
10分以上も手を真っ赤にして「無」になって叩くその姿、リズムに合わせて踊る姿がなんとも素敵な表情で感動的でした。
自分でも気付かない内に、涙がこぼれてました。









感激しきりの私に「どうぞ」とジャンベの席が用意されました。
叩き方を教わり、覚束無い手つきながらも8分間ご一緒させて頂きました。
後半一瞬でしたが、皆さんと心が一つになれたような瞬間が感じられて、また気付いたら笑顔で泣きながら無心でジャンベを叩いている私がいました。

私が「一粒の種」を歌いお届けさせていただくとき、毎回「まっさらに、まっさらに」と心の中で唱えています。
語り部として「一粒の種」の歌詞をそのままお届けできるように、あえて私自身が「無」である事をイメージしているんですが、時に邪念が入ることもあります。
今回「たんぽぽ」の皆さんとご一緒させて頂いて、「心から無になって繋がる」ことの大事さを教えて頂きました。

歌手砂川恵理歌にとってもとても大きな事を学ばせて頂いた今回のSmile Seed Projectでした。

長くなってしまいましたが、最後まで読んでくさいまして有難うございます。









では、また次回のSmile Seed Projectまで。