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2009.10.3(土) №91
福岡県 リレー・フォー・ライフ in 福岡

この日は、福岡県、海の中道海浜公園で行われました「リレー・フォー・ライフ in 福岡」というイベント にお邪魔しました。

さわりだけ、このイベントのご紹介を。
「リレー・フォー・ライフ」は、1985年にアメリカではじまった、がん患者支援と、がん啓発を目的としたチャリティイベントです。日本でも3年ほど前から全国各地で開かれていまして、福岡での開催は今回がはじめてでした。

開催地により、イベントの内容はさまざまですが、どこでも共通していることは、2つあるそうです。

「サバイバーズラップ」と呼ばれる、がん患者やがんを克服した方、医師などが、24時間交代で夜通し歩いて、連帯感を作ること。

がんで亡くなった人たちを偲び、現在もがんで闘っている人たちの願いを込めて「ルミナリエ」という灯篭を並べること。紙袋に思い思いのメッセージを書いて地面に置き、そのなかににろうそくを灯します。


このイベントで集まった募金は、日本対がん協会などに寄付され、私たちのがん医療の環境整備に使われるそうです。



10月3日〜4日福岡の海の中道海浜公園で行われたこのイベントに、私も3日の夜参加させていただきました。
がんと闘う皆さん、支える家族の皆さん、そして医療関係者の皆さんなどと、短いけれど、とても濃いひとときをご一緒しました。
実行委員もほとんどが、がんと闘う皆さん。
色々な困難や制限があるなか、ぜひ「一粒の種」を聞きたい、と私を招いてくださり、歌う場所をご提供いただきました。
本当に素敵な時間でした。
ありがとうございました。

会場に入ると、それぞれの持ち場で忙しいなか、駆けつけてくださった実行委員会の皆さん。
とてもがんと闘っているとは思えないほど、明るく、魅力溢れる方々でした。
会場には、出店(でみせ)や各患者団体のテント、乳がん検診をするスペース、がんに関する学びのスペースなどがあり、ステージではボランティアの方などがそれぞれに音楽やコントを披露していました。そしてサバイバーズラップの会場では、多くの方が歩いていました。

会場を散策しているうちに日も暮れ、いよいよ私のライブの時間がきました。
3曲歌った後、「一粒の種」も歌いました。
「一粒の種」はがんで亡くなった方の言葉をもとにできた歌です。実はこの時間がくるまで、どうこの歌を伝えるべきなのか大いに悩みました。
でも、考えて考えて、私を招いてくださった実行委員の皆さんの 「聞きたかった」という思いにストレートにお返しすることだけに集中しました。

この日、夜空には中秋の名月が。月明かりの下、ただただ無心で歌わせていただきました。
泣き崩れる方、誰かを思って胸に手をあてて聞いてくださる方もいました。
歌い終えて温かい拍手をいただいたとき、この歌をこの会場で歌わせていただいたことに、あらためて感謝の気持ちが溢れました。


ライブが終わって、私もサバイバーズラップを歩いてみました。 道端には、2000個のルミナリエが灯されていました。 そして、ルミナリエで書いた「HOPE」の文字も。









手作りの灯篭には、ひとつひとつ手書きでメッセージやイラストがかいてあり、読みながら歩いているうちに胸が熱くなりました。 ルミナリエの美しい明かりが、亡くなった方、そして今も生きる方々の命の炎のように感じられ、静粛な気持ちになりました。











短い時間でたくさんの出会いがあり、たくさんのことを感じましたが、もうひとつ、 とても印象に残った会話を楽屋で聞きました。

「体!無理しないで気をつけてよ」
「うん。わかってる。ありがと」

実行委員同士の短い会話でした。
元気そうに見える実行委員の皆さんが、この「今」もがんと闘っているんだということをリアルに私に教えてくれました。

そして、ステージの司会をされていた後藤心平さん。ラジオのDJとしても県内のメディアでご活躍の心平さんですが、お父様を がんで亡くされたことがきっかけになり、このイベントに賛同しこの日もステージに立たれたそうです。
心のこもった司会を、ありがとうございました。




この日、会場で「HOPE」という文字が刻まれた紫色のリストバンドを頂きました。
「紫色」は、リレーフォーライフのテーマカラーで、「希望の色」の意味なのだそうです。
「自分には朝が来るのか?」
がんと闘う方が不安に絶えながら眠れない夜を過ごしたあと、空を見ると、夜明け前に真っ暗な空が一瞬だけ紫色に染まる瞬間があるそうです。
暗闇からの一筋の光。それを紫色で象徴しているそうです。


福岡ではじめての開催のこの日、スローガンは、「好いと〜福岡 笑ろうて生くばい!!」
今を真剣に生き、そしてこのイベントを成功させようと何もかもゼロからの手作りで やっていらっしゃる皆さんの笑顔は心底優しく、キラキラと輝いて見えました。


最後に、この日聞いた、うれしい話をもうひとつ。
今、各地で行われているリレー・フォー・ライフの会場で、「一粒の種」のCDを流してくださっているそうです。
がんと闘う皆さんに、この歌がこのような形で届くことになるとは、当初は夢にも思いませんでした。
あらためて、これからも心をこめてこの歌を歌っていこうと、決めました。
ありがとうございました。
皆さんの笑顔にまた会いたいです。
がんと闘う皆さんに、逆に私が勇気をいただきました。









では、また次回のsmile seed projectまで。